q4i’s blog

グラストラッカーとCB400SFsprcⅢ、その他バイクのことを書き溜めていきます。あくまで備忘録としての記録なので、参考になさらないでね。

グラストラッカーのボアアップについて

使用工具:

・7、10、12、13、14、22、30mmソケットレンチ

・8、10、17、19mmメガネレンチ

・10、12レンチ

・ハンマー

・プラスドライバー

・コインドライバー

・パンダジャッキ

 

ボアアップかっけえ。

よく分からないけどボアアップという響きは胸にくる。

するっしょ。いくっしょ。

 

グラストラッカー ボアアップキット [検索]

 

プレコミモーター。中国スズキ(厳密にはスズキのライセンスを持った中国現地メーカー)が販売しているGN300ピストン。

GN250ならエンジン、フレームはグラストラッカーと共通の兄弟機。フレームはちょい違ったか?

調べたところGN300というのは中国のみで販売されているGNシリーズの車種で、250の純正ボアアップ品という扱いらしい。SR400とSR500みたいなもんかな。

 

純正なら安心だね。というわけで早速購入。¥29,800

 

お金振り込んで届いたらなんかお釣りと、あとオイルフィルターがオマケで付いてきた。意味わからないけど、l為替の関係で輸入時の金額が動いたのかな? 

とりあえず届いたピストンとシリンダー、各種ガスケット、ピストンリング、ピストンピンを開けてみる。

 

ふ~む。なるほどなるほど。なるほど~~。

良いのか悪いのかサッパリわからん。

すぐにでも組みたかったけど、やり方が分からないのでまずはサービスマニュアル(以下SM)を購入。

 

データ購入で、しょぼいディスク(¥4,000)を入手。アニメBDで慣れっこなので特に抵抗はない。

 

該当部分を印刷して簡易SMを作成して、基本的にこれを見ながら作業する感じ。

 

この時点で、ようやくシリンダーの向きというか場所というか、今から自分がエンジンのどこを交換するのかを理解する。

エンジンの、一般的に腰上と呼ばれるフィン付きの部分の、下半分。ここを交換するのだ。正直上半分を新品にするのかと思ってた。

 

余談だがGN300ピストンにはボルティー同様AI(エアーインジェクション)が付いていないらしくグラストラッカーの鉄板カスタムであるところのAIカットも同時に行えるということだ。お得。このAIシステム、なんか弁がついてて、二次エアをピストン内に戻してるっぽい。このへんは環境配慮なのか燃費貢献のためか分からないけど、無い方が見た目すっきりするから皆取っちゃうんだよな。

 

とにかく、上半分サクっと変えるだけならエンジンマウントしたまま出来るかもと思ったけど、流石に無理っぽいのでちゃんとエンジン下して作業することにした。グラストラッカーは吊り下げ式のフレームだから留め具を外せばストンと下に落ちてしまうのだ。まあ厳密には一旦向きを変えないとスムーズには下りないんだが。

 

ヘッド上、腰下前側、そして腰下後ろのメインシャフト、ともう一つその脇にあるサブのボルトを外すとエンジン取れます。

個人的にはなんとなくメインシャフトを最後に抜いてる。で、このメインシャフト、スイングアームもまとめて留めてるからこれ抜ききってしまうとダメらしい。SMに書いてあった。別にスイングアーム落ちてもあとでまた付ければ良くない?って思うけどダメらしい。何か不可逆の機構があるのかも。

これらの留め具は基本的にボルトとナットで両側から締めるタイプで、穴は全部貫通してる。

 

まずシート、タンク、マフラーを外して、フロントスプロケットを外して、クラッチを外して、キャブを外して、ホース類外して、コード類のカプラー外して、上記の留め具も外す。

 

・クラッチワイヤー

一応どの角度で取り付けられてたのかをしっかり確認しておかないと”後で変な角度で取り付けてしまって操作感を損なうことがある”らしいけど、ぶっちゃけ取り付け可能な角度なんて1点しかないしズレようがないと思った。


・キャブレター

基本的にガソリン垂れてくる。僕は勿体ないからコップかなんかにとってタンクに戻す。その後しばらくコップはガソリン臭くなる。

インシュレーター(キャブレターを挟んでるゴムのつなぎ目)は柔らかいからグリグリするとキャブは外れる。勿論メタルバンドはとったあとでね。あとスロットルワイヤーもちゃんと外してね。

 

・ホース類

金属のクリップがついてるから、落として失くさないように気を付けながらペンチで外す。

 

・コード

外すのは4本。フレームにそって伸びてる小さいやつ(カプラーパチンで外れる)、エアクリBOXのとこでぐにゃり曲がってるやつ(同じくカプラーパチン)、バッテリーの奥に押し込められてるやつ(カプラー)、これと途中までくっついてるやつ(バッテリーマイナス端子に留められてる)をそれぞれ外して、邪魔にならんところに流しとく。

 

スプロケット

カバー(なぜか7mmボルトで留まってる)外してロックワッシャめくって30mmのどデカナットをグルグル回して外すとガポっと取れてチェーンも外れる。

 

・エンジンマウントの留め具

メインシャフト以外を全部外して、この時点でエンジンは前のめりに傾いてると思うけど、メインシャフトを抜く前に一旦エンジン下にジャッキ噛ましてエンジン持ち上げとくとやりやすい。メインシャフトの車体反対側に飛び出してる部分をハンマーでこつんと叩くとシャフトの頭がピョコンと出てくるので、これをグリグリ引っ張る。

 

シャフトが抜けたら(完全に抜くとスイングアーム脱落するからちょびっと刺しとく)ジャッキだけでは怖いので僕は木のブロックを置いてエンジンの足場にする。これはまあ無ければ雑誌とかなんでもいいけど、手が滑ったり腕力の限界来た時にエンジン落っことすのは嫌だから、その保険みたいなもん。僕の場合は木のブロックでワンクッション置いてる。あとフレームから外したエンジンを硬い地面に直置きするの嫌なので、すぐ脇にスノコを敷きます。これまたマットでも雑誌でもなんでもよくて、僕はスノコってだけ。

フレームから外すときはまずエンジンを横に傾けながら少し浮かせて、そのまま今度は向きを変える。(排気孔が横を向く感じ)これで引っかからずにエンジンが取れる。マジ最初はなんで引っかかるのかわかんなくて1時間ぐらいフレームゴリゴリ引っ掻きながら悪戦苦闘したぞい。

 

とりあえずこれでエンジンはおりた。次はいよいよエンジンを開けるわけだが。

先に注意点というか始動不良の原因になりやすい作業箇所を特記しておきます。

 

・バルブタイミング

⇒やっぱ最大の関門はこれ。

エンジンを開けたら、というかカムチェーン外したら絶対狂うから、ちょいメンドイが閉じる前に絶対調節しとけ。これサボるとマジでエンジンかからんぞ。

フライホイールを反時計回りに回転させて、Tマークを出す。このTマークってのが分かりづらいんだけど、とにかくこのマークが出てる時が圧縮上死点。圧縮上死点ではバルブが全て閉じていなくちゃならないから、カムシャフトの山は両方下向きになるように配置して、その状態が崩れないようにカムスプロケット、カムチェーンを組み付ける。これがまためんどくて、チェーンのコマ数が合わなくて(付け終わるとちょっとカムシャフトが傾いてたりしてて)イライラする。でもここで手を抜くわけにはいかないから我慢してチマチマやろう。

 

・タペット調整

⇒せっかくヘッドカバー外してるならこれもしっかりやっておきたい。これもエンジン開けると多少は狂うっぽい。グラストは特にタペットカバー外しただけじゃやりにくくって敵わん。これもかなり面倒な作業だけどぶっちゃけバルタイよりは適当でもおけ。許容クリアランスが吸気0.03~0.08、排気0.08~0.13と広いからね。真ん中のゲージ突っ込んで適当に締めればいいんじゃない? って感じ。

 

・ピストン周りのクリアランス

⇒シリンダを外して変えてってのは実際そこまで難しい作業ではない。順番にネジ緩めて外してくだけ。付けるだけ。

ピストンピンが多分外しづらいだろうけど、あれはドライヤーであっためてあげると即外れる。仕組みはわからんが多分温度によって何かしら歪んでるんだと思う。

あとピストンリングと、リングを付けたピストンとシリンダーのクリアランスがシビアでかなりハマりづらいけど、そこは気合で。ただピストンリングは折らないように気を付けて。

 

・ナット、ボルトの締めトルク

⇒緩いとエンジンの回転数が上がった時にオイル噴いたり、振動でナット外れたりします。かといって加減を知らずどこまでも締めていけば中折れしてエンジンお釈迦になる。

 

・パーツの取り付け向き

⇒チェーンテンショナーやピストンリングなど、向きが違うとちゃんと働かないパーツは多いです。外す際に向きをしっかり覚えておきます。余裕があれば作業写真とか撮りながらやりたい。まあ実際一人でやってるとそんな余裕ないけど。手汚いし。

 

・ナットやワッシャの脱落。

⇒エンジン内に落とすと最悪腰下分解の大手術になるのでぜってえ落とさないように。棒の先っぽに磁石ついてるやつとかあるとくっつけて拾える。

基本的に以上の点に留意して作業すればボアアップ、つまりピストンとシリンダーの交換自体はサクッと終わるよ。それでも全部終わるころには1日潰れてるだろうけど。

実際僕はバルタイやらずにエンジン閉じちゃってメンドくさくなって一旦バイク屋に任せて工賃5万食らってるからズブの素人には少々ハードル高い作業かも知れん。

その後オイル漏れがあって再度エンジン開けるようになって、今度こそ自分でバルブタイミングをビシっとキメたんだけど、今度はタペット?のせいで調子悪くてキレてそのままスーヒョア買いましたね。

 

全部初めてのことだし、エンジン下さずに作業できるかなあ^^とか言ってるレベルのオタクだった(もちろんバイクいじりのオタクではなくアニメ視聴のオタク)けど、そんなオタクがでもなんとかできてしまう構造のシンプルさがグラストラッカーの魅力の一つなのだ。多分ニンジャ250とかがエントリーバイクだったら絶対こんなことしてなかった。

なんでも自分でできるいいバイクだよ。グラストラッカーは。